このページでは、アタック(攻撃)時におけるフランカーの役割について説明致します。フランカーはディフェンス(守り)の役割についてだけでもマスター出来れば十分ですが、アタック(攻撃)の理解を深めて、さらにラグビー観戦が楽しめるようになりましょう。
接点への寄りの速さ
まず、フランカーのプレーへのチームの期待値としては、最初に紹介したように接点への寄りの速さは”必須のプレー”となります。
フランカーの寄りが遅れると、相手にボールが奪われてしまうので如何に早く接点に寄る事が出来るかがポイントになってきます。優秀なフランカーは次の接点がどこで出来るのか大方予想がつくため、ボールを持った選手を追いかけるのではなく、接点を目がけて走ります。
基本的に、ラックやモールなどの接点への参加回数はフランカーがチームトップとなります。運動量も豊富で仕事量もチームで1番なのです。
そして、接点に行くだけでは意味がありません。如何に相手より先に到達しポールを確保できるようにポジショニングする事、または相手をオーバー(掃除)する事が大事なのです。元日本代表ヘッドコーチのエディー氏がラックのポジショニングについて、指導している動画をご覧下さい。
ラグビーの密集で何をやっているのか今ひとつ腑に落ちなかった方も、この動画を見れば、単純に「ボールの奪い合い」をしている。という事が分かると思います。
フランカーのアタックの役割1:いち早く接点に行きボールを確保すると覚えて下さい。そして、2つ目の役割でもありチーム方の期待も大きい、ペネトレイト(ボールを持って前に行く)です。
ペネトレイト
フォワードの中でボールを持った時に一番強いのはNo.8ですが、ボールを持つ回数も一番多く、むしろ、そのプレーがNo.8としての役割でもありチームからの期待値でもあります。
その次に他のフォワード陣が続きますが、フランカーの機動力あるアタックはチームの攻撃に流れを作る重要なランプレーであります。チームによっては、No.8とブラインドフランカーを務める選手もおり、アタック(攻撃)を見るのが非常に楽しくなります。
南アフリカ代表のフランカー ジャン=ルック・デュプレアを紹介致します。この選手は194cm 113kgの恵まれた体格から繰り出されるハードタックルも見ものですが、長いスライドから生まれるハードヒットで相手を弾き飛ばし、どんどんボールを前に運びます。2019年のワールドカップでは注目選手となるでしょう。
そして、オールブラックスの ブラインドフランカー ジェローム・カイノ(下記動画)はNo.8を任されることもあります。
フランカーのアタックの役割2:ボールを持ったら前に進む!と覚えて下さい。そして、最後にフランカーのみの役割という分けではないですが、チームの期待としては非常に大きい”バックス並みのランプレー”です。
ライン参加
フランカーのみに限った事ではありませんが、スクラム以外のアタック時にバックスラインに入るシチュエーションが出てきます。念のためですが、バックスラインとは下記画像の事を言っています。
もし、バスが回ってきた際に要求されるのがパススキルです。パスが苦手であれば、そのまま前に走って敵に”当たる”でも良いですが、ボールをもらったシチュエーションが「パスを回せばトライ」という事もあるのです。
その場合、スピードを殺さずパックス並みのスピードで走りながら早いパスを放るスキルが必要とされます。このプレーが出来るのは、フォワードの中では他でものない機動力抜群のフランカーなのです。
オールブラックスの元主将 リッチー・マコーは世界最高のフランカーと称される選手で、ディエンスではタックルとジャッカル。アタックでは、ペネトレイトとバックス並みのパススキルで世界最優秀選手に3度も選ばれております。
下記動画の2分50秒付近のプレーを確認下さい。マコーがワールドカップ2015で見せたフォワードとは思えない、相手ウイングのディフェンスをも騙すバックスラインの走るコースとパススキルです。
以上が、フランカーのアタック(攻撃)における役割ですが、ざっくり言うと、どんなシチュエーションでも必要とされ、どんなプレーでもそれなりのスキルが要求・期待されるユーティリティープレーヤーでもあります。
つまり、どのプレーでも顔を出すフランカーが優秀であるほど、ゲームの流れが変わってくるのです。他のポジションが優秀であっても、キツいからといって直ぐにサボようなフランカーであったり、ペネトレイターとして機動しなければ、勝ち星を落としてしまう事もあり得るのです。
以上、フランカーの「ディフェンス」「アタック」について説明いたしましたが、ここまで読んでくれた貴方は、もうフランカーマスターです。同じようにラグビーのポジションについて、もう少し知識を深めたい友人がいればフランカーの仕事について教えて上げて下さい。
あなたのラグビーに関する知識度アップが、日本ラグビーの活性化に繋がっております事を感謝いたします。