ラグビーを初めて見る人にとってタックルは衝撃的なプレーではないでしょうか。人と人がお互いに走り合い生身で衝突するのはラグビーくらいでしょう。
ラグビーをプレーする以上、タックルスキルは必要不可欠です。
そのタックルにも適正かつ要領があります。基本ともいえるタックルのポジショニングや間合いの取り方なども重要です。
今回、タックルへの心構えと上達するための個人練習をご紹介していきます。
■タックルについて知っておくべき事
まずラグビーのタックルは奥が深いプレーである事を知っておきましょう。。
パワーが強ければ良いタックルができる訳ではありません。
相手も良いタックルをさせないようゲーム中はあらゆる攻撃を駆使し動きます。そしてゲームを通してベストタックルができるかどうかは、数回あるか無いかと言っていいでしょう。
状況に応じてタックルの型を変える事も必要となり、効果的なタックルを行う為には判断力も要する為に経験も必要です。
いきなり綺麗なタックルが成功する事はありません。
日本のラグビー教育では低いタックルが理想と言われています。貴方のコーチはどうでしょう。

タックルは下に入らねーとダメだろ!!
と毎試合叫んでいるようなコーチでしょうか。
相手の腹より下、また足首にまで標準を定めタックルする。これは自分達より大きい選手に対抗する為に日本人がこだわっているものかもしれません。
低いタックルができない事や高いタックルをした事でコーチから叱られる選手は、勇気のないタックルと評される事もります。
だが実際、低いタックルにも高いタックルにもメリット・デメリットはあります。
低いタックルのメリット・デメリット
低いタックルは相手の推進力を奪い易く、相手の芯にタックルが入れば自分よりもフィジカルの強い相手にも勝つ事が出来ます。
しかし、ボールを手で持ち運ぶスポーツの為、パスを繋がれてしまう可能性があります。
ボールを殺す事が出来ないため、一発で相手を倒す必要がある。でないと、ソニービルのような選手とマッチアップした際、簡単に繋がれてしまう。
↓ソニービルのオフロードパス
そして、低いタックルは相手をその場で倒す、言わば、一撃必殺と言っても良いでしょう。その場で相手を倒すには持ってこいのスキルです。
しかし、相手のフォローが早ければ、タックルでボールキャリアを仕留めてもすぐにテンポよく球出しされてしまう可能があるのです。
テンポよく球が出なくても、一緒に倒れてしまえばその後、密集の下敷きになってしまいディフェンスの人数が少なくなることもあるのです。
高いタックルのメリット・デメリット
高いタックルは相手のボールハンドリングを封じる事ができ、ディフェンスエリアも広いですが、インパクトが弱くなりやすいです。
つまり、相手は全然怖くありません。
そして、真っすぐ来た相手には対応できますが、ステップでズラされたしまった際は高いタックルではハンドオフではじかれてしまいます。
しかし、高いタックルを上手く使えば、相手の攻撃を遅らせディフェンスの人数を優位に保ち試合を運ぶ事が出来ます。
近代ラグビーの理想のディフェンスは高いタックル無しでは語れないかもしれません。
1人目がボールに絡みながら、2人目は低く入り相手を敵陣へドライブする。たまらず、相手はラックにしようとしますが、タックラーは倒れずに次のプレーに参加できます。
エディージョーンズ率いるイングランドのディフェンスを参考にすると良いでしょう。
最初からディフェンスの人数が優位なイングランドは、高いタックルで人数を減らさずにディフェンスを行います。
守るエリア、マークしている相手選手、間合いなど様々な条件に応じてタックルは変えなければいけません。
つまりタックルは勇気があるかどうか等の理想論ばかりで評価するのではなく状況に応じてそれぞれ必要な技がある為、そこを見習い評価されるべきなのです。
もし、チームのコーチが常に

タックルは下に入らねーとダメだろ!!
と言っていたら、教えてあげましょう。
とは言え、フィジカルが弱いうちは、どうしても下にタックルに入り相手を止める必要があるのでしっかりと基本から練習しておきましょう。
■タックル練習 習得すべきは基本
タックル基本練習では以下のようなトレーニングがあります。
1. スピードコントロール
もし、あなたが自分の体を自由にストップ⇒ダッシュ⇒ダッシュが出来ないのであれば、動いている相手にタックルに入るのは難しいでしょう。
非常にシンプルな練習です。
①踵を着かずにつま先を意識して走ります。
②ストップのタイミングで重心を低くし細かく足踏みをしながら止まります。
③直ぐにダッシュします。
出来るだけ踵を着かない事を意識してください。踵を着かないという事は、膝を自由に動かせるという事です。靱帯損傷などの怪我防止にもつながります。
このスピードコントロールが出来れば、ボールを持った選手を自分がステップを踏んで欲しい方向に追い詰める事が出来ます。
下記動画のような練習を取り入れてみましょう。
ちなみに全国高校ラグビーの優勝校は、1年生でこのスキルをトレーナーから学びます。
2. タックルバッグを持ち上げ前に前進し1m先でバッグを倒すトレーニングも良い。
腕はタックルバッグの下に巻きつけ、背中を伸ばし胸をバッグにしっかり密着させる。
また、倒した後は倒れたままではなく、真っすぐもしくは倒れたポジションから素早く立ち上がり前を見る事です。
コンタクトの練習ではないですが、タックルにおける負荷を知り、タックルの改善にも繋がります。1m先で相手を倒せるという事は、ベストタックルに近いシチュエーションと考えて良いでしょう。
相手にタックルする瞬間、倒す工程をイメージできなければ試合で成功する事はできないでしょう。
タックルバックがなかったり、誰かが支えてないと立たないタックルバックしかなければ、少し痛いですが、Hポールを相手に意識しながらやってみましょう。もちろんポールカバーは着けてください。
Hポールの硬さに慣れれば怖い相手はいないかもしれません。
3.スクラムの姿勢をしながらタイヤを押す。
20m~30mを押し、そこから15mから20mのショートダッシュを行う。
http://blog.livedoor.jp/kyushin_rugby/archives/2015-12-22.html
ラグビーは一度タックルしたら終わりのスポーツではありません。レフリーが笛を吹くまで止まらないのです。
例え80分間でも、ラグビーに大切なのは倒れる事ではなく立つ事。このメニューで意識してほしいのはタイヤを押すのは単に足腰のトレーニングではなく姿勢を覚える事と次のプレーまで意識を切らせない事です。
上記トレーニングでは意識してほしい事は
・目的の方向に体重移動をする。
・全ての場面で頭を上げる。
・全ての場面で力を100%出し切る。
特に3つ目の100%出し切るは非常に大事です。
日本代表やトップリーグなどトップにいる選手達と下位リーグにいる選手たちの違いは、全てのプレーで100%が出せるか出せないかにあります。
女の子に抱きつくようなタックルをしていたり、ただ味方に抱きつくようなオーバーに入っている時があるようでは、試合で活躍したり、スカウトから声がかかるような選手にはならないでしょう。
基本の動きや考えを知り怪我の予防もできる自主練習を繰り返し、本番ではフルタイムで力を発揮する為に基本を学んでこそレベルアップを図れるスキルです。
本来タックル練習は1人で行うには厳しい練習であり、最終的には実際の相手で実戦していく必要があります。
上記の練習をしっかりこなしておけば、対人相手でも問題ないでしょう。むしろ、タックルが楽しくなるかもしれません。
ただ、過信は禁物です。
理想のタックルを用意しても、試合では相手のアタックムーブに合わせてタックルに行く為、対応できなくなる時があります。
しかし、そんな時も決してモチベーションを落とさないで集中して下さい。
実際の試合では周りとのコミュニケーション、仲間との信頼関係があってこそのタックル成立です。。
調子が悪い時に必ずフォローしてくれるのが仲間です。
仲間の信頼を勝ち取る為の最低限の土台作りとしてしっかりと自主練習に取り組んで下さい。