一発で倒すタックルは試合の流れを変えるかもしれません。チームを鼓舞し観客をも魅了するかもしれません。
しかし、一発で「パンッ。」と倒してしまうと”勿体ない!”と判断されるシチュエーションがあります。
それは、一体どんなシチュエーションなのでしょう?また、そのようなシチュエーションの場合、どう対処すれば良いのか?このページで説明していきます。
倒すと勿体ない!どんなシチュエーション?
一発のタックルで倒すと”勿体無い”とされるシチュエーションですが、そもそもそんな事ってあるの?と思ってしまうかもしれません。
日本のラグビー教育では
何故上に入る?タックルは下に入らないとダメだ!怖いのか??
と、少しでもビビッて上に入ってしまえば、監督からキツイお叱りを受けてしまうでしょう。
タックルはまず下に。
日本ラグビーの教育では、このように教えているチーム・監督がほとんどです。
意図的に上に入ろうとするとハイタックルになる可能性も非常に高く、更にルール変更によりハイタックルのルールが非常に厳しくなった2015年ワールドカップ以降、常に下に入るタックルをチーム全員が行う事でシンビンや退場になるリスクを大幅に削減出来ます。
しかも、一発でタックルに入り相手を倒しマイボールになった時の、ベンチや観客の盛り上がりは物凄くチームに勢いをつけてくれます。
しかし、毎回のタックルでそのようなタックルをするのは困難です。殆どのタックルシチュエーションでは”倒すのがやっと”という時がほとんどでしょう。
もし、全てのタックルが、相手のノックオンを誘うような相手に突き刺さる激しいタックルが出来るのであれば、あなたは常に下に入るべきタックラーです。
でも、それは難しいでしょう。世界最高峰のフランカー リッチー・マコウもシチュエーションによってタックルを使い分けています。
そのシチュエーションはどんな時だと思いますか?
ソニー・ビル・ウィリアムズのようにオフロードパスが得意とした選手とマッチアップした時でしょうか?
http://www.sarugbymag.co.za/blog/details/bok-defence-was-much-better
自分より身長がはるかに低い選手とマッチアップした時でしょうか?
答えは、タックラーの人数が2人以上になった時です。
これは、キックカウンターや、マイボールから相手ボールに変わった時などのアンストラクチャーな状態では、難しいでしょう。
しかし、セットプレー時などのラインディフェンスにおいては、全員がサボらずディフェンスをする事で簡単に作る事が出来るシチュエーションです。
下記の動画を参考にしてみましょう。綺麗に揃ったディフェンスラインに怖いものはありません。
理想の順番は、1人目がボールキャリアの上にタックル。そして2人目が下に入りドライブします。
そして、ゲインラインを一気に押し戻します。
ドライブしている際に(ボールキャリアが倒れる前に)、ボールキャリアからボールを奪う事が出来れば最高のタックルです。
では、このダブルタックルを成功させるためにどんな練習をすべきなのでしょう?
ダブルタックル。どんな練習をすればいい?
ディフェンスをしながらも、いっきに相手陣地へ押し戻す事が出来るダブルタックル。このダブルタックルを成功させるために、どのような練習を行えばよいのでしょうか。
①完璧なディフェンスライン
ダブルタックルを成功させる為には、個人個人のタックルスキルが重要なのは言うまでもありません。
しかし、それだけではダブルタックルを成功させるのは不可能です。もう1つ重要なのが完璧なディフェンスラインです。
ギザギザにならず、全員が揃えて出る見事なディフェンスラインがダブルタックルの成功のカギを握ります。
ディフェンスの人数が少ない場合は難しいでしょう。人数が少ない時は、
「アップ!」
のコールで一斉に前に出て、相手がパスを外に回せば
「プッシュ」
のコールで1枚外にズレます。スタンドオフの前に立ってたとしても、第1センターにパスが回れば、第1センターにタックルに入ります。下記の画像を参考にして下さい。
もし、ディフェンスとアタックの人数が同じであれば、「プッシュ」しなくても、人数が余る事はありません。
しかし、人数が揃っているからといってプッシュしないチームはダブルタックルを成功させる事は難しいでしょう。
人数が揃っていても、相手が外にパスを回せば内からブッシュしタックルを狙いに行きます。
下記画像は、ディフェンスの人数が揃っている時のシチュエーションですが、内の選手がしっかりとプッシュしタックルを狙いに行っています。
この時、外のプレイヤーがダブルタックルを狙うの事はあまり良い考えではありません。基本的には内側のプレイヤーがタックルを狙いに行きます。
何故ならば、2次・3次の攻撃を踏まえると、外の人数を減らす事はリスクになるからです。
味方へのコーリング、そしてヒヤリングをしっかり行い、素晴らしいダブルタックルを決めてやりましょう。
②ディフェンス時のコミュニケーション
このダブルタックルの注意点、それは、1人目が下にタックルに入らない事です。
タックルを最初に下入ってしまうとその場でボールキャリアーが倒れてしまい、ポイント(オフサイドライン)が出来てしまいます。
なので、ディフェンスの人数が勝っているシチュエーションでは、1人目がボールを殺しに、そして2人目が下に入り、ドライブする必要があります。
これは、練習からコミュニケーションをとっておかなければ試合でいきなり合わせるのは難しいでしょう。
タックラーは内から見方が来ている姿を確認し、内からプッシュしているディフェンスの選手は、自分もタックルに参加できる事を大きな声で伝える必要があります。
そして、全員がダブルタックルを意識しするチームは、何より近年アタックが有利となるように変更されているラグビー規則に適応出来るチームになるでしょう。
もし、どんなシチュエーションでも下に入るタックルを要求してくる監督であれば、
何故下に入らないんだバカヤロー!
マジ?みたいな顔して、
「えっ?あのシチュエーションでですか?」
と反論してみるのもいいでしょう。
タックルの目的は、下に入る事ではないですからね。